projectart.jpを運営するノマドプロダクションが、モノつくる人々の姿やかたちに残りにくいコトづくりの表現の今に注目していくプロジェクトとしてスタートを切った「生活と表現」。2回のプレイベントと、エキシビション&フェスティバルというかたちで展開した2015年度の活動をお伝えします。

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台東区南西端のまち・御徒町エリアのマンションの一室に拠点を移して6年目。ノマドプロダクションは、国内各地で行われている芸術祭やアートプロジェクトと呼ばれる催しに、様々な立場で関わりながら「地域とアート」について考える機会をいただいてきました。

一方で、自分たち自身はこのまちに拠点を置きつつも、日々の仕事に勤しむだけで、この地域に関わることも無く過ごしてきました。ビルに囲まれた、この典型的な東京の都心で地域に関わるというのはどのようなことなのか。この地域で可能なアート活動とはどのようなものなのか。

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そんなことを考えながら、少しゆっくりとこのまちを歩いてみたり、様々な地域で活動するアーティストや、そこに住まう方々の話を聞いてみたりするうちに、「地域とアート」という少し身構えてしまうようなキーワードは、「生活と表現」という、等身大の言葉に置き換わりました。

日々の人の営みの中にあるささやかな表現活動から、日常的な風景によりそうアートプロジェクトまで。モノつくる人々の姿やかたちに残りにくいコトづくりの表現の今に注目していくプロジェクトとして、「生活と表現」はスタートを切りました。

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実施にご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

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エキシビション&フェスティバルのメイン会場となった「ご近所❤︎ギャラリー 吾郎」は、ノマドプロダクションの事務所から徒歩1分。元ビルオーナーで町会長、絵描きであった吾郎さんの遺族の方が運営するこのスペースとの出会いにより、プロジェクトの幅が広がりました。

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ギャラリーの展示風景。路面の大きな窓越しに、中の様子をうかがう方もたくさんいらっしゃいました。ギャラリーも2015年末からの運営で「このスペースは今後どうなっていくの?」というご近所からの期待(!?)の声もしばしばいただきました。

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新里碧《ことば宝石商会》
宝石問屋のある御徒町には各地からたくさんの石が集まってきていますが、御徒町産の石はありません。そこで、アーティストなりにまちで集めた「ことば」から宝石をつくるアプローチで作品を制作。好みのことばとかたちで宝石をつくることができるワークショップも大好評でした。

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谷山恭子《都市に棲む表現者達》
都市でものづくりや表現活動に携わる方々が拠点としている空間・道具・生活を顕在化するプロジェクト。ウェブサイト版もあり、今後も取材活動やネットワークづくりが行われていく予定です。
http://art-sublet.com/

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増田拓史《わたしとは、あのね。》
「生活と表現」に興味を持ち集まったリサーチプロジェクトメンバーが、台東区に生活する(していた)人々に聞いたそれぞれの人生を紡いで物語を制作。冊子となった作品と、その内容を示唆する平面作品が展示されました。

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池田光宏《BGA in 御徒町》
御徒町エリアの喫茶店などのお店に何気なく飾られている絵画や彫刻などの作品(Back Ground Art)に注目。日常的に親しまれている表現活動を「展覧会風」に紹介しました。

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ウエハラヨシハル《春一番》
ギャラリー近くの銭湯「燕湯」に季節を感じさせる作品を展示。こちらで情報を得てギャラリーに足を運んでいただいた方もいました。

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ギャラリーで普段展示していた吾郎さんの作品を近隣のお店に期間限定で展示させていただくプロジェクトも実施。

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給湯流茶道&狂言部「御徒町の宝石商がつむいできたエピソードを狂言にしてみた!茶会」
狂言では、吾郎さんの自画像を宝石商の社長に見立てるひと幕も。フェスティバル最終日の楽しいひと時を演出しました。


生活と表現2015

日程:2015年12月〜2016年3月
会場:MIROOR、いいオフィス、ご近所❤︎ギャラリー 吾郎、燕湯ほか
主催:一般社団法人ノマドプロダクション
助成:平成27年度 台東区芸術文化支援制度、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
特別協力:ご近所❤︎ギャラリー 吾郎、燕湯

・参加アーティスト・チーム
青山吾郎、池田光宏、ウエハラヨシハル、谷山恭子、新里碧、増田拓史、給湯流茶道&狂言部、スイッチ総研

・運営メンバー
コーディネーター:橋本誠
アシスタントコーディネーター:高橋尚子
リサーチャー:市川はるか、谷澤千尋、松尾沙織、脇門裕子
サポートスタッフ:阿比留ひろみ、近藤美智子、林絵梨佳、米津いつか
グラフィック:川路あずさ
ウェブ制作:嘉住康佑
写真:川瀬一絵

・ウェブサイト
http://representation.tokyo/