3年に一度、愛知県で開催される芸術祭〈あいちトリエンナーレ2016〉が8月11日に開幕しました。
港千尋芸術監督が掲げたテーマ「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」に呼応した、119組の参加アーティストによる多彩な表現に出会うことができる芸術祭です。会場は主に名古屋・岡崎・豊橋の3地区。開幕の様子をフォトレポートにてお届けします!

【名古屋地区】
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刘韡(リウ・ウェイ)《緑地》
愛知芸術文化センターの展示室や屋上、回廊などに多数の作品が展示されています。愛知県美術館10階の最初の展示室には、様々なオブジェを組み合わせた刘韡作品。世界の異なる土地へのイメージを誘うインスタレーションです。

 

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三田村光土里《Art & Breakfast》
同10階の中盤に現れるのは、各地で滞在制作を行う三田村が、これまでに集めてきた日用品などをテキストと共に巧みに構成した居心地のよい空間。8月13日(土)、14日(日)には、朝食を通じて様々な人とコミュニケーションを楽しむ「Art & Breakfast Day あいちトリエンナーレ 長者町」が長者町エリアのカフェMITTS Coffee Standで行われました。

 

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ヴェルサン・クールマ・コッレリ《バープ・オブ・ジ・アース》
瀬戸の粘土や豊田の竹など愛知県産の天然素材を使い、美術館の屋外などにテントのような空間をつくり出しています。12日の夕刻には、その場に居合わせた人へお茶を振る舞ったり、土でつくられた楽器の音に耳を傾けたりする煎茶会が作家とゲストの上田舞により行われていました。

 

賴志盛(ライ・ヅーシャン)《境界・愛知》
賴志盛(ライ・ヅーシャン)《境界・愛知》
名古屋市美術館地下。観客は、普段は作品が展示されている壁際を歩き、床に散在した展示ゴミのようなものを眺めることになる皮肉な作品です。

 

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寺田就子《向かいあう光り 浮かびあがる影》
旧明治屋栄ビル。外光がよく入り込む元バレエ教室という特徴ある空間を生かした展示です。

 

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ルアンルパ「ルル学校」
長者町では、7つの建物を使った展示が行われています。堀田商事株式会社1階では、インドネシアでオルタナティブな学びと共有の場づくりなどを行うグループ・ルアンルパが、都市を創造的に生きるための未来の寺子屋「ルル学校」を運営。13日に開催された模擬授業&説明会では、集まった人たちがそれぞれが考え書き出した「まちにない方がいいと思うもの」を出発点に、まちの課題を多角的に考えるアプローチが提示されていました。

 

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今村文《あなたのこころはわたしのからだ》
エンコースティック(蜜蝋画)で作品を制作する今村は、長者町の八木兵錦6号館のほか、喫茶クラウンでも店内の雰囲気に合わせた展示を行っています。

 

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佐藤翠 《Shoe closet Ⅱ》 《Flower closet》
衣服や装飾品などを描き、インスタレーションとして構成する佐藤は、長者町のほか、石原邸(岡崎地区)、期間限定(〜8月23日)でジェイアール名古屋タカシマヤ(名古屋駅)などにも作品を展開しています。
※写真はジェイアール名古屋タカシマヤ(あいちトリエンナーレ2016 関連企画展示)

 

【岡崎地区】
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田島秀彦《窓から風景へ(石原邸インスタレーション)》
戦火を逃れた古民家の中に、様々な色・絵柄のガラスやタイルを使ってインスタレーションを構成しています。

 

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コラムプロジェクト〈トランスディメンションーイメージの未来形〉
岡崎シビコでは、ハッサン・ハーン、野村在の展示の他に、8つのキーコンセプトから人と地域と歴史の接着点を知る「コラムプロジェクト」のひとつも展開されています。コラムプロジェクトは名古屋・豊橋・岡崎の全エリアにまたがり、それぞれ外部企画者やアーティストたちを交えながら芸術祭のテーマをさらにひもとき深める試みです。

 

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二藤建人《誰かの重さを踏みしめる。》
名鉄東岡崎駅ビルには二藤健人とウダム・チャン・グエンの作品。二藤建人は、文字通り人の重力を体感する本作など、自身の身体を通して世界にアプローチする作品を複数展示しています。

 

【豊橋地区】
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大巻伸嗣《重力と恩寵》
豊橋駅直結の穂の国とよはし芸術劇場PLATのロビーに、動植物の線描に覆われた大きなつぼが出現。光が空間を飲み込むようにうごめくダイナミックな作品です。

 

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ジョアン・モデ《NET Project》
PLAT前のほか、名古屋市美術館前や、岡崎の籠田公園で展開されている参加型作品。様々な素材と色の紐が結びつけられていくプロジェクトで、会期終了の1週間前からは、3つの作品が愛知芸術文化センターに結集する予定です。

 

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ラウラ・リマ《フーガ》
高度経済成長期の1960年代初頭に農業用水路上に建てられた水上ビルの一角をダイナミックに使った作品。100匹の小鳥のためにつくられた、各フロアや階段室などをめぐるうちに、自分も鳥と同じように空間をさまよっていることに気づかされます。

 

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久門剛史《PAUSE》
開発ビルの広大なワンフロアを造作や光の演出などにより、巧みに構成したインスタレーション。

 

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石田尚志「絵馬・絵巻/プロジェクション」
会期初日となる11日の夜には、開発ビルで作品展示も行っている石田が豊橋市公会堂でプロジェクションマッピングを行いました。

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ダニ・リマ『Little collection of everything』
国際展や映像プログラムなどの現代美術と合わせて、ダンス・オペラなどの舞台芸術も楽しむことができます。11日〜14日には愛知県芸術劇場で、カラフルな日用品や言葉を遊びのように組み合わせた振付家ダニ・リマによる公演が行われました。17日、18日には、穂の国とよはし芸術劇場PLATでも公演が行われます。

〈あいちトリエンナーレ2016〉は10月23日(日)まで開催。詳細については公式サイトをご覧ください。

 

あいちトリエンナーレ2016
虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅

会期:2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日)[74日間]
主な会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)、豊橋市内のまちなか(PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場)、岡崎市内のまちなか(東岡崎駅会場、康生会場、六供会場)
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会
芸術監督:港千尋

公式サイト http://aichitriennale.jp/