さいたま市域を舞台に初めて開催される国際芸術祭〈さいたまトリエンナーレ2016〉が9月24日に開幕しました。市内各所で国内外34組のアーティストによる作品が鑑賞できるほか、市民も作品展示やパフォーマンスを披露します。芹沢高志ディレクターが掲げたテーマは「未来の発見」。ほとんどがさいたまの自然や歴史に触発されたオリジナルの新作という点に加え、各会場の都心からのアクセスしやすさ・基本無料で鑑賞できる点などで注目を集めています。開幕の様子をフォトレポートにてお届けします!

 

【大宮区役所(与野本町駅~大宮駅周辺)】

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岡田利規《映像演劇 op.1 椎橋綾那》 《映像演劇 op.2 青柳いづみ》

取り壊しが決まっている大宮区役所(旧大宮市役所)の地下にある、もう使われなくなった厨房と食堂で上映される映像作品です。調理器具がそのまま捨て置かれた地下空間で、新しい演劇 ”映像演劇”を体験できます。

 

【市民会館おおみや(与野本町駅~大宮駅周辺)】

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SAITAMA MUSE FORUM《SMF学校》

2008年の発足から埼玉県立近代美術館や地元地域を表現の場とし、様々な人が広くアートに触れて参加できる場を作ってきたSMF(サイタマミューズフォーラム)。トリエンナーレに合わせて、ユニークな授業を行うSMF学校を開校しています。会期中もたくさんの授業・イベントが予定されていますので、こちらから詳細をご覧ください。

 

【彩の国さいたま芸術劇場(武蔵浦和駅~中浦和駅周辺)】

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チェ・ジョンファ《息をする花》《ハッピーハッピー》

会期前にも市内巡回展示を行った《息をする花》ほか、夏にさいたま市内で開催したワークショップで市民と一緒に作り上げたプラスチックの日用品オブジェ《ハッピーハッピー》が芸術劇場を彩っています。桜環境センター(武蔵浦和駅〜中浦和駅周辺、施設無料バスあり)でもチェの大型作品を鑑賞できます。

 

【花と緑の散歩道(武蔵浦和駅~中浦和駅周辺)】

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ダニエル・グェティン《STATION TO STATION》

駅へ向かう人、帰宅する人、散歩する人、一緒に歩く犬など、生活する市民たちが行き交う散歩道。さいたま市民の日常を支える道の計8箇所に設置されたカラフルな作品群は、心地よい違和感と不思議な調和を生み出しています。

 

【西南さくら公園(武蔵浦和駅~中浦和駅周辺)】

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アイガルス・ビクシェ《さいたまビジネスマン》

散歩道の途中で突如現れる全長9.5mのビジネスマン。この作品を入れていた箱があまりにも大きく、開梱・設置をする際は地元住民が集まってちょっとしたお祭りのようになったとか。

 

【旧部長公舎(武蔵浦和駅~中浦和駅周辺)】

かつて国から埼玉県に出向した職員の住居であった旧部長公舎は、まだどこか生活感の残るモダンな住宅建築群です。今回のトリエンナーレのメインビジュアルを務めた埼玉出身の写真家・野口里佳の作品をはじめ、他3組のアーティストが建物や土地の歴史に様々なアプローチをおこなっています。1アーティストにつき1軒という贅沢なボリューム感も見どころです。

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野口里佳《はじまり(仮)》

まだ故郷にいた時に初めて撮ったいうフィルムの写真作品と、同じ場所を再撮影した映像作品を展示しています。

 

【K邸(岩槻駅周辺)】

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向井山朋子《Home》

実際に人が住んでいた市内の古い日本家屋を舞台に、向井山朋子が演出・音楽・映像を手掛けたインスタレーション&パフォーマンスが鑑賞できます。会期中の毎週土曜日は世界的ダンサー・湯浅永麻による上演も行います。パフォーマンス日時の詳細はこちらのページで確認できます。

 

【旧民俗文化センター(岩槻駅周辺)】

かつて民族博物館として使われていたメイン会場では、埼玉出身の藤井光や体験型大規模インスタレーションを発表した目など、14組のアーティストが展示しています。会期中は最寄りの岩槻駅からシャトルバスを利用できます。

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マテイ・アンドラシュ・ヴォグリンチッチ《無題(枕)》

ディレクターの芹沢が「現実と夢、パラレルワールドが交差している」と語った旧民俗文化センターの展示全体を暗示するように、鑑賞者を出迎える枕がエントランススペースを埋め尽くします。

 

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小沢剛《帰って来たJ.L.》

埼玉出身の小沢剛は、かつて伝統芸能を上映していたというホール会場で、歴史上の実在する人物を題材に事実とフィクションを重ねあわせ物語を構築する「帰って来た」シリーズの最新作を展示しています。かつてさいたまアリーナにあった一見その場所とはなんの関わりもない「ジョンレノンミュージアム」が着想のきっかけだとか。

 

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川埜龍三《犀の角がもう少し長ければ歴史は変わっていただろう》

今いる世界とは別の「さいたまB」で発掘したとする犀(さい)の埴輪(はにわ)と、さいたま市民がエキストラとして参加して架空の発掘現場を再現した写真作品を展示しています。元民族博物館という場所性も相まってユーモアたっぷりの空間となっています。

 

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日本相撲聞芸術作曲家協議会 JACSHA《JACSAHA土俵祭り in岩槻》《相撲聞芸術研究室》 

相撲をこよなく愛する3人の作曲家ユニット「日本相撲聞芸術作曲家協議会」略してJACSHA(ジャクシャ)が、相撲を通じてさいたまのまちと音楽に触れるプロジェクトを展開しています。10月2日にはイベントも開催。

 

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アピチャッポン・ウィーラセタクン《Invisibility》

さいたま市内で録音した鉄道の行き交う音・公園の環境音・木々のざわめきなどの日常にあふれる「音」から着想を得た、影を主題にしたサイレントな映像作品を堪能できます。

 

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西尾美也《感覚の洗濯》

市民と共に公園で洗濯をおこない街中で干す「洗濯物の風景」を作り出すワークショップの記録群。市民から募集した愛らしいミニチュアの衣服も展示されています。

 

〈さいたまトリエンナーレ2016〉は12月11日(日)まで開催。詳細は公式サイトをご覧ください。

 

さいたまトリエンナーレ2016
未来の発見!

会期:2016年9月24日(土)~12月11日(日)[79日間]

主な会場:与野本町駅~大宮駅周辺、武蔵浦和駅~中浦和駅周辺、岩槻駅周辺(会期中は、主要エリアのほか、市内各地で各種アートイベントを実施予定)

主催:さいたまトリエンナーレ実行委員会

総合アドバイザー:加藤種男(公益社団法人 企業メセナ協議会専務理事)

ディレクター:芹沢高志(P3 art and environment 統括ディレクター)

公式サイト https://saitamatriennale.jp/