文化庁メディア芸術祭〉は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた芸術作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。18回目となる今回は、世界71ヶ国・地域から3853作品の応募が寄せられました。メディア芸術の”いま”を体感できる貴重なこの展示会。2月4日(水)より国立新美術館にて開催されています。その様子を一部フォトレポートでご紹介します。

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●アート部門 優秀賞
《センシング・ストリームズ―不可視、不可聴》
メディアインスタレーション
坂本 龍一/真鍋 大度(日本)

人間が知覚できない電磁波を感知(センシング)し可視化・可聴化するインスタレーション作品。ダイヤルを自由に回して周波数を変えれば、それらが映像化・音声化される。

 

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●アート部門 新人賞
《A Tale of Tehrangeles》
映像インスタレーション
Anahita RAZMI(ドイツ)

チャールズ・ディケンズの小説『A Tale of Two Cities』に着想を得たテヘランとロサンゼルスの視覚的コラージュ。タイトルにある“Tehrangeles”は、ロサンゼルス在住のイラン人移民のコミュニティの俗称。

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アーティストトークが行われており、本人のお話を聞くことが出来ました。

地理文化的、政治的に大きな距離があるように思える2都市。実はそこには多くの共通点が存在する。モニターに映し出された映像をロスだと思ってみていたかと思えば、いつの間にかそれがテヘランの風景になっている。コラージュされた映像が、私たちの頭の中にある2都市の境界線を曖昧なものに変えていきます。

 

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●アート部門 優秀賞
《Nyloïd》
メディアパフォーマンス
Cod.Act (Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD)(スイス)

アンドロイドならぬナイロン製のニードロイド。動きに連動する音響装置を携えた長さ6mの脚をもつナイロン製の三脚。まるで巨大な生物かのように音を発しながらボディをうねらせるパフォーマンスは圧巻。

 

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●エンターテインメント部門 優秀賞
《3RD》
インタラクティブインスタレーション
Hedwig HEINSMAN / Niki SMIT / Simon van der LINDEN(オランダ)

参加者は鳥を模したヘルメットをかぶり、ヘルメット内のモニターに映し出された映像だけを頼りに歩き回る。外部のカメラを通じて俯瞰された自分が映し出されており、非常に不思議な感覚を体験できる。

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●エンターテインメント部門 優秀賞
《のらもじ発見プロジェクト》
ウェブ、オープンソースプロジェクト
下浜 臨太郎/西村 斉輝/若岡 伸也(日本)

まちで出会う、古い看板の手書き文字。その独特の魅力をまとった文字を「のらもじ」と呼び、収集し、さらに再構築できるようトレースしフォント化した。展示ではまちの看板に、好きな文字を打ちこむことができる。

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●エンターテインメント部門 新人賞
《Slime Synthesizer》
サウンドデバイス
ドリタ/エアガレージラボ(川内 尚文/佐々木 有美)(日本)
不定形のシンセサイザーと表現されたこのサウンドデバイスは、
片手に電極となるパッドを持ち、もう片方の手でスライムに触れると音が流れる。これまでにない演奏体験を味わえる。

 

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●功労賞
《自立分散システム『Symphonic Object』》
岩政 隆一
エンジニアリング・デザイナー
オールラウンド、発明家タイプのエンジニア。日本科学未来館の《Geo-Cosmos》、《インターネット物理学モデル》など多くのメディアアート作品や公共展示物を技術や専門知識の面から支える。

 

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アニメーション部門には、《映画クレヨンしんちゃん「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」》をはじめ8作品が展示。会期中シネマート六本木にて受賞作品の上映も予定されている。

 

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マンガ部門では、近藤ようこ《五色の舟》が大賞を受賞。ほか7作品。日本を代表する文化の最先端を思う存分味わうことができる。

 

 

第18回文化庁メディア芸術祭
会期:2015年2月4日(水)~2月15日(日)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)※2月10日(火)休館
シネマート六本木(東京都港区六本木3-8-15)
スーパー・デラックス(東京都港区西麻布3-1-25 B1F) 他

※開館時間、休館日は会場によって異なります。詳細は公式サイトにてご確認ください。
http://j-mediaarts.jp/